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- カリフォルニア州
海が奏でる巨大な楽器。
サンフランシスコ湾(San Francisco Bay)の桟橋に位置するウェーブオルガンは 1986 年に作られました。科学博物館のエクスプロラトリアム(Exploratorium)と協力して、アーティストのピーター・リチャーズが湾に打ち寄せては引く波の音を増幅させる音が出る彫刻作品を制作しました。オルガンの桟橋は、取り壊された墓地から彫り出された花崗岩と大理石で造られました。年月を経たこれらの格調高い材料からは、不規則な階段状になったベンチやゴミ箱ホルダーさえも精工に作られています。楽器自体は、海の中のさまざまな深度まで伸びるポリ塩化ビニール素材とコンクリートでできた 20 本を超えるパイプから構成されています。音を生み出すのは、これらのパイプの端に当たって砕ける波。波が打ち寄せると、パイプに水の調べが反響します。海の絶え間ない動きと波の変化に伴って、ゴボゴボという低い音が小さくなったり大きくなったりするのです。
ウェーブオルガンの音の科学
その音はどのように生まれるのでしょうか。巻貝に耳を近づけると音が聞こえる現象に似ています。一定の量の空気が特定の周波数で共鳴しているわけです。ウェーブオルガン(Wave Organ)のパイプの中でも同じような現象が起きています。ただ、大きな違いが 1 つあります。ウェーブオルガンの場合は、波の出入りに合わせてパイプ内の空気の柱が絶えず変化しており、それぞれのパイプ内の空気の柱の長さと量が変わると、そこから生まれる音の高さも変化します。空気の量が多いほど音は低くなり、空気の量が少ないほど高くなります。
防波堤の風下側にある公園のような環境の場所からは、サンフランシスコのマリーナ地区(Marina District)、サンフランシスコのダウンタウンのスカイライン、イーストベイ(East Bay)の丘陵地帯、サウサリート(Sausalito)、タマルパイス山(Mount Tamalpais)、プレシディオ(Presidio)、ゴールデンゲートブリッジ(Golden Gate Bridge)、マリンヘッドランズ(Marin Headlands)が見えます。朝はオルガンがある場所で漁師の姿をよく見かけます。マリーナの近くを散歩した後は、そこが都会の中にありながら、喧騒から離れた安らげる場所のように感じられます。
旅行の前に知っておきたいこと
ウェーブオルガンの音は、波が入っている時だけ聞こえます。音が一番良く聞こえるのは満潮のときです。駐車場は少し離れたマリーナ内にあります。もっとアクセスがよい会員制のマリーナクラブがありますが、部外者はそこの駐車場を利用できません。オルガンがある場所はクリッシーフィールド(Crissy Field)保養地から遠くないので、時間があれば、約 3 キロメートルのトレイルを歩いてみてもよいでしょう。
旅行サイト『アトラスオブスキュラ』(Atlas Obscura)に掲載された書き下ろし記事です。