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- モンタナ州
ブラックフット族のエド・デロシアーは、息をのむような公園を自身の遺伝子の一部と考え、自らの物語を伝えるためにツアー会社を興しました。
ロッキー山脈(Rocky Mountains)の山あいで育ったデロシアーは、少年時代のほどんとをアウトドアで過ごし、ブラックフットネイションの歴史において常に不可欠な部分だった土地と親密な関係を育んできました。デロシアーのサンツアーズ(Sun Tours)は、ビッグ・スカイ・カントリーを訪れる人々のためにその歴史を紐解いています。
ロッキー山脈での暮らし
ブラックフットネイションが隣接するモンタナ州北西部のグレイシャー国立公園(Glacier National Park)はロッキー山脈に位置し、延べ 40 万ヘクタールにおよぶ広大な大自然がカナダまで続いています。デロシアーにとってここは、6 人の兄弟姉妹とともに育ったふるさと。「父はよくバックカントリーに連れて行ってくれました。ハイキングに魚釣り、そして山登り。私は常にこの土地との強いつながりを感じ、熱い思いを抱いています。」とデロシアー。
ブラックフット族のエド・デロシアーは、モンタナ州のグレイシャー国立公園でブラックフットネイションの文化歴史ツアーを催行するサンツアーズのオーナー
太古の昔から変わらぬつながり
グレイシャーの特徴について尋ねると、デロシアーは思いを巡らせました。「あの谷に足を踏み入れた最初の人間の気分が味わえる。そんな場所がとても多いんです。」とデロシアー。「自分の目で見るのが初めての人にとって特別なのは当然のことですが、これまで長い間、人は同じ谷と山道を歩いてきました。」
モンタナ州グレイシャー国立公園の息をのむような絶景
大空の向こう
デロシアーによると、果てしない大空を期待してここへやって来た人は、それ以上の収穫があるはずです。「ここでは空が違って見えますね。山と交わり、谷底から唐突に姿を現わすグレートプレーンズ(Great Plains)に、皆圧倒されるんです。」とデロシアー。次にデロシアーが挙げたのは、はるか昔の 1 万年前には、極寒の冬に耐えながらグレイシャー地域に暮らす人々がいたと聞き、観光客が一様に驚くこと。「しかも、その生活は生産的で有意義で豊かなものでした」と。
氷河湖に映し出されたグレイシャー国立公園の刻々と姿を変える大空
先進的なツアー
この地域で通訳として長年勤め、たくさんの観光客が先住民文化に興味を示すことを知ったうえでサンツアーズを設立したデロシアー。「訪れる人に、普通より少しだけ余分に楽しんでもらうことが目標です。」デロシアーは続けます。「私自身が、この美しい場所とともに育んできた文化的つながりと関係性を共有できたら。」めでたく 25 周年を迎えるサンツアーズは、物語と教育を重視したブラックフットネイションのゴーイング・トゥ・ザ・サン・ロード(Going-to-the-Sun Road)を巡る歴史に文化ツアーを催行しています。
ゴーイング・トゥ・ザ・サン・ロードの風景を楽しむツアーグループ
公園の管理人
デロシアーにとってサンツアーズは、仕事というよりむしろ使命。「世界が広いものだと考えるきっかけとなった重大な瞬間は、7 歳で山登りをした時に訪れました。デロシアーは、眼下に広がる雄大な景色に受けた当時の強い感動を思い出すのでした。現在サンツアーズは、管理と保護という精神で運営されています。「文化の一つとしてだけでなく、現代を生きるブラックフット族としての価値観を植え付けるのが狙いです。今あるものを守り、その財産と部族とのつながりに熱い思いを抱いています。」
グレイシャー国立公園の壮大な谷と山の風景