モンタナ州中部：西部開拓時代の精神

私たちが宿泊したのは美しいグランド・ユニオン・ホテル（Grand Union Hotel）。どこか懐かしい雰囲気が漂うこのホテルの徒歩圏内に、再建されたオールド・フォート・ベントン（Old Fort Benton）があります。かつてはミズーリ川の重要な毛皮の交易所だった古い砦は丹念に復元されました。狩猟者とブラックフィート族が共同で毛皮ビジネスを営んでいた場所です。建物の内部では、毛皮、カミソリや衣類など、当時取り引きされていたものを見学できます。その隣には、地元のウェスタンアーティストの手による絵画や彫刻が飾られています。

砦を見学してから、かつて蒸気船が停泊していた古い土手沿いを歩きました。土手沿いの多くの彫刻や記念碑が、古き時代のフォートベントンを思い起こさせます。

ホテルに戻ってカヤックをレンタルして、涼風を浴びながらミズーリ川（Missouri River）をゆっくり下ってみることにしました。モンタナ州中部の大平原を数日かけて体験するには、とてもよい出発点だったため、もう少し時間があれば、川でもう少し長い時間を過ごしたいところでした。

昼食を軽く済ませてから、グレートフォールズの南西に向かい、ウルムの町とファースト・ピープルズ・バッファロー・ジャンプ州立公園（First Peoples Buffalo Jump State Park）を目指しました。この場所をぱっと見ただけではその重大さに気づきません。しかし、果てしなく続く大草原から山が次第に姿を現します。何世紀にもわたって、この場所は草原に住むインディアン部族の狩猟場になっていました。彼らはまず周囲の平原にバイソンを集め、それから長い崖っぷちに移動させてバイソンを死に追いやります。

近くにあるインフォメーションセンターでは、この古代の狩猟方法を後世に伝えるため、展示やレクチャーを行っているほか、小さな書店を併設しています。アメリカンバイソンほど西部開拓時代を象徴する動物はいません。とりわけ平原のインディアン部族にとっては、彼らの衣食住に欠かせない非常に重要な動物です。

ちょうど日が沈む頃、宿泊地のチョトーに近いディープ・キャニオン・ゲスト・ランチ（Deep Canyon Guest Ranch）に到着しました。まるで古くからの友人のような歓迎を受けました。翌朝は馬に乗り、ロッキー山脈（Rocky Mountains）のふもとの美しい原野に入って行きました。小さな小川や牧草地沿いに野花が咲き乱れている中を進むと、絵に描いたようなパノラマが広がります。このような美しい景色を目にして、他のツアー参加者も私と同様に、カウボーイのワイルドで自由な生活を夢見たに違いありません。

モンタナ州中部は、この夢を実体験できる場所です。広大な大草原、ロッキー山脈、温かいもてなしにすっかり魅了されてしまいました。