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カーサバカルディ
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  • 州:
    プエルトリコ

世界一人気があるラムのブランドの本拠地は、トロピカルアールデコ様式の建物です。

プエルトリコのカスターニョの労働者階級のスペイン系の人々が暮らす地区のはずれに、カクテル好きのオアシス、カーサバカルディがあります。特徴的なコウモリのエンブレムが掲げられた巨大な鉄の門の内側に建つ、世界最大のバカルディの蒸留所は、まるで超一流のカントリークラブのようです。モダンアートの彫刻が置かれた手入れの行き届いた緑の芝生と南国風のヤシの木の敷地は、美しいアールデコ様式の「ラムの大聖堂(Cathedral of Rum)」の建物の非の打ちどころのないカンバスとなっています。

カーサバカルディ

カーサバカルディ(Casa Bacardi)では蒸留所を巡るツアーが行われており、訪れる価値がある場所です。ここでは毎日 100,000 リットル以上のラムが製造されています。まず、プエルトリコのスペイン植民地時代の町、サンフアンの波止場からフェリー「ランチャ・デ・カターニョ(Lancha de Cataño)」に乗り、バイーア・デ・サンフアン(Bahía de San Juan)にわたります。料金は 50 セントです。カターニョドック(Cataño docks)で上陸すると、カーサバカルディ行きの昔風のシャトルサービスがあります。料金は 3 ドルです。

世界最大のブランドのひとつにもかかわらず、バカルディは現在も家族経営の企業です。1830 年にキューバに移住したスペイン人創業者のドン・ファクンド・バカルディ・マッソは、独自の方法でラムを製造し、それは海軍の船乗りが好む酒から洗練されたスピリッツになりました。現在バカルディは、ドン・ファクンドが開発した発酵、蒸留、木炭濾過の秘密のプロセスとほとんど同じ方法で製造されています。

サンフアン
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酒と建築が出会う場所

キューバに最初の蒸留所が設立されたのは 1862 年です。この建物の屋根の垂木にはオオコウモリの一家が棲みついていました。バカルディの特徴的なロゴは、彼がそのオオコウモリからデザインしたものです。ドン・ファクンドの長男は 1890 年代の独立戦争中に投獄され、キューバから国外追放されましたが、戦後にアメリカ軍によってコカコーラがキューバにもたらされたことにより、世界一シンプルで人気のあるカクテル、キューバリブレ、つまりラム・アンド・コーク(スライスしたライムを添えて)が誕生しました。バカルディがさらに成功を収めると、メキシコとプエルトリコにも工場が建てられました。しかし 1960 年代のキューバ危機で、バカルディ家はキューバを去るほうが得策と判断し、プエルトリコに進出しました。

現在、優雅で緑豊かなカーサバカルディを巡るツアーで、秘密の蒸留プロセスの一部を垣間見ることができます。設備が整った博物館には、ごく初期のバカルディのボトルやこのブランドが獲得した数百ものメダルが展示されています。ツアーは屋外のバーで終わりとなります。ここではドン・ファクンドの伝説のラムを試飲できます。しかしながら、カーサバカルディ訪問の最大の見ものは蒸留所の建物そのものです。これは、カリブ海諸国随一のトロピカルアールデコ様式の最も華々しい実例です。

旅行の前に知っておきたいこと

カーサバカルディの休館日は月曜日です。

旅行サイト『アトラスオブスキュラ』(Atlas Obscura)に掲載された書き下ろし記事です。

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